深夜に電話がなり、親族の訃報を伝えられた。
礼服買わなきゃ。
この前の訃報はいつだったんだろう?
礼服を出して窓の明かりが、透けて見えた。
上着が蟲に喰われてボロボロになっていた。幸い暑い時期だったので
ワイシャツと黒タイ、ズボンで済ますことができた。
幼馴染の恭子の時だったのかなあ。
恭子は隣の家の同い年で、ちびのころよく遊んだ。
中学生のころ、陸上部の走り幅跳びの選手で、あいつよくモテタな。
おとなになってから数回飲みにいった。お酒が好きでいつも酔っていた。
亡くなる前、アル中でボロボロだったようだ。
通夜で棺の中の恭子の顔を見た。あの頃の面影はなかった。
この前観た映画『麦子さん』の余貴美子演じる母親を今思う。
掃除婦のさえない風貌のおばさん、末期ガンで亡くなり、娘がお骨を故郷へ
納骨に行く。母親の若かりし頃は、村のアイドルで憧れの女性だった。
仕事を途中で抜け出し、紳士服の有名店に行く。ボロボロの礼服を2万円で
下取りしてくれた。3万円で礼服購入、いい時代やな。
親戚の82歳のオヤジの葬儀、遺影は若い頃の写真が使われていた。
これから礼服の着用が増えそうだ。